生きる意味ってなんですか?

~その答えは仏教にありました~

心で思っていることを、すべて言葉にできるか?

仏教では、

人間の作る罪悪を「十悪」にまとめられ、

そのうち最も恐ろしい「欲・怒り・ねたみそねみ」の心を見てきました。

 

これらの心が、

口から出る(言葉になる)と次の4つの罪悪となります。

 

④綺語(きご)・・・心にもないお世辞を言うこと。

⑤両舌(りょうぜつ)・・・

二枚舌とも言い、仲の良い人の間を仲たがいさせるようなことを言うこと。

こっちではあの人の文句を言い、あっちではこの人の文句を言う。

学校や会社などでもよく見る光景。

⑥悪口(あっこう)・・・わるぐち、中傷。

⑦妄語(もうご)・・・ウソをつく。事実無根のデタラメを言うこと。

 

どれも、

人生で一度もやったことはない、

という人はいないのではないでしょうか。

 

また、自分もこれらの言葉で深く傷ついた経験がある

という人が多いと思います。

 

言った方は何気なく言った言葉が、

言われた本人には一生心の傷となって残ることもあります。

 

お釈迦さまは、

私たち人間の心と口の関係を次のように説いています。

 

心口各異 言念無実 (しんくかくい ごんねんむじつ) 

by『大無量寿経

 

(心で思っていることと、実際口にしている言葉は全く異なる。

どこにも真実はない。)

 

例えば、

知り合いのお母さんに会い、その赤ちゃんに対して

「お世辞にも可愛いとは言えない。どちらの親に似たのだろう、可愛そうに・・・」

と、心では思っていても、

「まぁ、可愛らしい赤ちゃんね!」

と言ったりします。

 

「可愛くない赤ちゃんね」

などと正直に言えば、

最低な人だと思われ、その方との人間関係は終わってしまいます。

 

正直になることが良いこととされていますが、

すべての人が正直に行動していたら、社会はどうなるでしょうか。

 

私たちはいつも本音を隠すのに苦しんでいるのです。

隠さなければ生きていけないような、

見にくい本音が心にあるのです。

 

これから科学が発達して、

心の中が見えるシステムなんかが発明されれば、

この人間社会は恐ろしいことになるに違いありません・・・。

 

もちろん、

心で思っていることをそのまま口に出せばいいという訳ではありません。

 

悪因悪果の通り、

言ってしまえば、すべて自分に返ってきます。

 

そして、

悪いことを思わないようにしようと思っても、

思ってしまうのは、

人間だからです。

 

悪いと知らずにやってしまうのと、

悪いと知ってやるのでは、

結果が違います。

 

お釈迦さまは、

知って作る罪よりも、知らずに作る罪のほうが重い

と言われます。

 

悪いということを知らない人は、

同じあやまちを何度も繰り返し、罪を作り続けることになるからです。

実は、こちらのほうが可愛そうです。

 

悪いと分かっている人は、

無意識でもブレーキがかかるので、

そこまで大きな罪にはなっていかないのです。

 

自分もそういう罪をつくる人間だということを自覚し、

「あきらかに見ていく(諦観(たいかん))」ことが、

本当の幸せになる第一歩だといわれます。