なぜ自殺してはいけないのか③
ananchangbuddhism.hatenablog.com
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自殺問題について考えることは、これからの日本にとって、そして人類にとって、最重要課題であると私は思っています。
なぜなら、政府が国をあげて取り組んでいるにも関わらず、いまだに答えが見つけられていないからです。
逆にいえば、この自殺問題にこそ、「本当の幸せ」の鍵があるといってもいいと思います。
厚生労働省のHPには、『自殺対策白書』というデータが公開されており、
・自殺者数の推移
・年齢階級別、職業別自殺者数
・自殺対策とその実施状況
などを見ることができます。
自殺理由に関しては、遺書などが残っている場合に限られるので、すべての理由を把握することはできません。
しかし、これらの資料からいくつかの傾向も見えてきます。
①第二次世界大戦後、若者の自殺率が増加していること
これは、悲惨な戦時体験が若者の心に大きなダメージを与えたことや、戦後の社会経済の混乱が影響しているのではないかと思われます。
②1983年に中高年男性の自殺率が増加していること
これは、プラザ合意以降、ドル安円高へ推移した中での不況が要因ではないかと言われています。
③そして1998年に今までにない急激な自殺率の増加
(この年にはじめて自殺者3万人を突破)
これは、バブル崩壊による影響とされていますが、それ以降も自殺率は増え続けています。
④自殺の原因を見ると、全体での1位は、健康上の要因。しかし、男性だけで見ると、仕事や生活苦による自殺のほうが多い。
つまり、仕事や生活苦を理由に自殺をするのは女性ではなく男性が圧倒的に多いということです。
そのほかにも色んな見解があるかと思いますが、仏教ではこの自殺問題はどのように見ることができるのでしょうか。
2600年前、お釈迦さまによって説かれた仏教の根幹にあるのは、
因果の道理というものです。
因果(いんが)の道理・・・
すべてのものごとには、必ず「原因」と「結果」がある
原因が分からないということはあっても、その結果が起こったということは必ず原因がある。
この真理は、現代の科学でもすでに証明されていることと思います。
この因果の道理、正しくは、
因縁果(いんねんか)の道理といい、「因」と「縁」が合わさってはじめて「結果」が生じるとされています。
「自殺」という結果の因と縁は何でしょうか?
先に挙げた①~④などの自殺の傾向や、自殺理由とされている戦争・病気・仕事・生活苦などが自殺の原因だと思っている人がほとんどだと思います。
しかし、これらは自殺の「縁」にすぎません。
ではいったい自殺の「因」は何なのでしょう?
仏教では、「死んだらどうなるかわからない心」が根本原因であると言われます。
専門用語で、「後生暗い心」「無明の闇」といいます。
戦争や病気、仕事や人間関係、生活苦など、生きているとさまざまな悩みや苦しみにぶちあたります。
それらが縁(きっかけ)となって、人ははじめて「自分は何のために生きているのだろう」と考えるのだと思います。
真剣に考えた結果、こんなに苦しいなら死んだほうが楽になれるという結論に達した人が自殺をしているのです。
しかし、死んだら本当に楽になれるのでしょうか?
死んだら楽になれるかどうかは、本当は誰も知らないのです。
この、死んだらどうなるか分からない心(無明の闇)が晴れないかぎり、私たちは人生において本当の安心も満足もない、本当の幸せが分からないまま死んでいく、と教えられています。
反対に、この無明の闇が晴れれば、
「自分はこのために生まれてきたのか!」という大歓喜とともに、
「自殺をしてはいけないのは、この身になるためだったのか!」
ということもハッキリします。
自殺をする人だけではありません。
長生きをしても、どれだけ豊かな生活をしていても、悩みがない人にでも、この無明の闇は必ずあると言われます。
無明の闇とはどのような心なのか?
無明の闇が晴れるとどうなるのか?
どうすれば無明の闇が晴れるのか?
私たちが本当に心から幸せになるために必要な疑問に答えられたのが仏教なのです。