親の大恩③ 苦しみを忘れて、わが子の誕生を喜んでくださる父と母
親の大恩十種の3つ目は、
③生子忘憂の恩(しょうじぼうゆうのおん)
これは、
元気に生まれた我が子の姿を見ると
これまでの悩み苦しみが一返に吹き飛んで
父母ともに喜んで下さるご恩です。
『父母恩重経』には、
「若しそれ平安になれば、猶蘇生し来るが如く、
子の声を発するを聞けば、己も生れ出でたるが如し」
とあります。
子供の健康を一心に念ずる親の恩は、
ひと通りではないでしょう。
やがて元気な子供の顔を見れば、
それまでの一切の苦しみを忘れて、
家族全員、「よかった」と歓声をあげます。
10か月間、身重の体をひきずり、
出産の激しい痛みに耐えてきた苦労も、
子供の泣き声を聞くと、すべて忘れ、
こんな幸せなことはないと喜んでくださるのが母親です。
また、
女性が体験する出産の痛みは、
男性では耐えられずに死んでしまうほど痛いものだと言われます。
しかし、しばらくすると、
母親はその痛みを忘れてしまうそうです。
いつまでもその痛みを覚えていると、
その恐怖でまた子供を産もうという気持ちにはならないからです。
出産なんて二度とするかと思っていた人でさえ、
また子供が欲しいなと思うそうです。
新しい命をこの世に生まれさせるという
大変な使命を果たす母親に備わった本能なのでしょう。